みなさま、こんにちは✨
相続&個人事業主専門の税理士 中澤君衣(なかざわきみえ)です。
過去のブログで遺言のメリット・デメリットや注意点をお伝えしました。
私たちは遺言の作成サポートも行っていますが、どなたにでも遺言を書くことをおすすめしているかというとそうではありません。
遺言があることでかえって相続人が揉めてしまうことがあるからです。
それでも遺言を残したいと考えていらっしゃる方向けに、失敗しない遺言の書き方をお伝えします。
本当に渡したい財産だけ書く
遺言には持っている財産の全部を書かないといけないと思っていませんか?
実はそんな事はありません。
特定の人に渡したい財産がある場合は、その財産のみの遺言を残せばよいのです。
例えば、ご自宅の土地・建物と現預金の方がいたとします。
相続人は長男、次男、三男としましょう。
ご自宅の不動産は長男に、現預金は兄弟3人で分けてほしいという場合はどうするか。
この場合は「自宅の土地・建物を長男〇〇に相続させる。」という遺言を書けばよいことになります。
では現預金はどうするか?
「長男1/2、次男1/4、三男1/4ずつ」のような割合を示す書き方も可能ですが、現預金は遺言を書かずに遺産分割協議で決めるというのも一つの方法です。
また、現預金は相続開始時点でいくら残っているか分かりませんから、「長男△△円、次男□□円・・・」と厳密に金額まで書いてしまうのはリスクがあります。ご留意ください。
思いの丈は付言事項に書こう(公正証書遺言の場合)
遺言は次の2つのパートに分かれていることをご存知でしょうか。
①法定遺言事項
②付言事項(ふげんじこう)
に分かれています。
①法定遺言事項
法的遺言事項とは、相続分の指定など法的効力が認められるパートを指します。
先ほどの例ですと、「自宅の土地・建物を長男〇〇に相続させる。」といった文言が当てはまります。
相続分のほか、祭祀承継者の指定もここに含まれます。
②付言事項
付言事項とは、法的効力が認められないパートを指します。
私たちはお客様に「お手紙パート」とお伝えしています。
その名の通り、ご家族に向けたメッセージや納骨の意向などを書く方が多いです。
また、現預金の分け方に関する遺言をあえて残さない場合でも、付言事項にそれとなく意向を示すことができます。
「現預金については、長男1/2、次男1/4、三男1/4ずつを目安に分けてほしいと思います。」といった感じです。
ただし、法定遺言部分と相反する付言事項は混乱を招きますのでご注意ください。
遺言作成に迷ったら専門家に相談を
これまで遺言にフォーカスした記事をいくつか書いてきました。
遺言に対する考え方が少しでも伝われば幸いです。
今やご自分でも作成できる遺言ですが、遺言があることで思わぬハプニングを招かないよう、
作成の際は専門家のサポートを検討されることをおすすめします。