みなさま、こんにちは✨
相続&個人事業主専門の税理士 中澤君衣(なかざわきみえ)です。
私には95歳になる祖母がいます。
腰はそこまで曲がっておらず、杖は飾りみたいなものでシャキシャキ歩いています。
体はびっくりするほど元気なのですが、ここ数年、認知症が進んでいます。
ご家族に認知症の方がいらっしゃる方なら想像がつくと思いますが、私の祖母の特徴としては、
・自分の家ということを忘れる(知らない家に泊まっていると思うみたいです)
・家族の名前を忘れる(でもなぜか私の名前は覚えている)
・若いときの記憶と錯乱している(若いときの記憶は残っているようで、よく昔話をします。戦時中の女学校時代の話が多い。)
・お風呂に入るのを嫌がる
などです。
加齢なので仕方ないことなのですが、だんだん祖母の記憶がなくなっていくと思うと寂しいものです。
最近、アルツハイマーに関する新薬が発表されましたので是非普及させてほしいなと。
さて、今日は認知症になった場合に売買契約はできるのか、というテーマで書きます。
認知症だけど不動産を売りたい
生前対策で、親御さまが亡くなる前に不動産を売却したいというご相談を受けることがあります。
まず、そこで確認することは
売却する方に「判断能力」はあるか、です。
判断能力とは、簡単にいうと、物事を理解し、判断する力と思っていただければと思います。
この判断能力がない場合に契約などの法律行為をした場合は、無効となります。
一番最初にお話した認知症も「きちんと契約内容を理解し、サインができるかどうか」、という目線で判断していくことになります。
ただ、一口に認知症と言っても症状は様々です。
私の祖母もそうなのですが、意思疎通ができないわけではなく、会話も普通にできるし、記憶がないわけでもありません。
忘れちゃったかな?と思っていても、あ!これは覚えてるんだ、とか日によってもまちまちです。
こういう場合はどうするか?
判断能力があるかどうかの判断は、医師の診断書を出してもらうのが確実です。
特に診断書が出ていないけど、心配‥という場合は、売却前に司法書士さんに確認してもらうことがあります。
なぜ司法書士さんなのかというと、不動産登記をする際に誤りがないよう、事前に売却者さまの本人確認をする役割があるからです。
確認方法としては、ご本人さまへ簡単なヒアリングがあります。
・氏名
・住所
・生年月日
・家族の名前 など
※ヒアリング内容は一例です。
※認知症かどうかの確実な診断は医師にお願いすることとなります。
医師の診断書が出ていなくても、司法書士さんのヒアリングで引っかかってしまった場合は判断能力に疑問が残り、売却は難しくなってしまうかもしれません。
仮に売却までこぎつけたとしても、買主様側から「この売主さん、大丈夫?」となり無効となる可能性があります。
一人での売却が難しい・・・。そんなときは
もし売却が難しい、となると他の手段が考えられます。
それが成年後見制度です。
これは、家庭裁判所に申立をし、成年後見人などを選任する制度です。
不動産の売却などの法律行為は、本人に代わり成年後見人等が行うこととなります。
成年後見人等の選任には最低でも約2ヶ月ほどかかり、費用もかかります。
認知症の気配が出てきたら早めに相談を
もし認知症が疑われる方が売却を考えているの場合は、弁護士や司法書士、税理士といった専門家に相談してみましょう。
税理士の場合は、売却した際の税金計算のシミュレーションを行うことができます。
税金面が気になる方は、税理士に相談されると良いでしょう。
いずれにしても、認知症はどんどん進んでいきますので早めに動くことをおすすめします。